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子どもと疎遠で将来が不安。任意後見と遺言のセットで親友に託した事例

子どもと疎遠で将来が不安。任意後見と遺言のセットで親友に託した事例

遺言・家族信託

2026.10.4

こんにちは!リベ大司法書士法人 代表の金城(カネシロ)です!

🌀認知症で施設に入ることになったら、入所費用はどうしよう…

🌀子どもと疎遠だから、私が亡くなったあと、空き家になった家が放っておかれないか心配…

お子さんと疎遠になってしまった方から、こうしたご相談をいただくことがあります。

今回は、私が実際に受けた相談事例をもとに、「子どもに頼れない」ときの将来への備え方をお話しします。

【今回のご相談者のプロフィール】

  • 70代の女性。ご主人に先立たれ、持ち家でひとり暮らし

  • 娘さんがいるが、連絡はまったく取っていない

◆ご相談の内容

ご主人に先立たれ、持ち家でひとり暮らしをする70代の女性。娘とは連絡を取っていないが、信頼できる友人がいる。

ご相談者は、ご主人に先立たれ、持ち家でおひとりで暮らしている70歳の方です。

娘さんが1人いますが、親子の交流はほとんど途絶えている状況でした。

相談に来られた時点では、認知症の心配はありませんでした。ただ、「5年後、10年後に自分がどうなっているかは分からない」と、以下のような不安を感じていらっしゃいました。

  • 「もしも認知症になったら、施設に入る費用が手元にないので、自宅を売却して、その代金を入所費用にあてたい」

  • 「最期まで自宅で暮らせたとしても、自分が亡くなったあと自宅が空き家になってボロボロになったり、倒れて近所に迷惑をかけたりしないか心配」

頼れるご家族はいらっしゃいませんでしたが、お話をうかがっていくと、何十年来の付き合いがある親友がいると分かりました。

◆ご相談者に対して、司法書士がした提案

認知症が進んで判断能力がなくなると、ご本人は自宅を売る契約ができなくなります。

お子さんと普段から連絡が取れる関係なら、売却や片付けをお子さんに任せる、という方法もとれます。

ですが、今回のご相談者はそれが難しい状況でした。

そこで、ご相談者のご意向も伺い、信頼できるご友人に自宅を任せる方向で、「①任意後見契約」と「②遺言」を組み合わせる形を提案しました。

子どもと疎遠な70代の女性が、任意後見契約で友人に自宅の売却を託し、遺言で亡くなったあとの自宅を友人に譲る備えをした事例。

①認知症に備えて「任意後見契約」を結ぶ

まず、1つ目の不安に対応するのが「任意後見契約」です。

▼ご相談者の不安(1つ目)

「もしも認知症になって施設に入ることになったら、入所費用が手元にないので、自宅を売却して、その代金を施設の費用にあてたい。」

任意後見契約とは、将来、認知症などで判断能力が落ちたときに備えて、「誰に、何を任せるか」を事前に決めておく契約です。

任せる相手は家族だけでなくご友人でもよく、任せる内容に「自宅の売却」を入れることもできます。

こうしておけば、手元にまとまったお金がなくても、入所費用に困ることはありません。施設に入るときは、ご友人が自宅を売り、その代金を費用にあててくれるからです。

②最期まで自宅で暮らしたときに備えて「遺言」を書く

次に、2つ目の不安に対応するのが「遺言」です。

▼ご相談者の不安(2つ目)

「施設に入らず最期まで自宅で暮らした場合、亡くなったあと空き家になった自宅が傷んだり、倒れて近所に迷惑をかけたりしないか心配。」

認知症に備えるために結んだ任意後見契約は、本人が死亡すると同時に終了します。

そのため、亡くなったあとの自宅のことは、ご友人に任せられません。自宅は連絡をとっていない娘さんが相続することになります。

娘さんが放っておけば、空き家が傷んで倒れ、近所に迷惑をかけるおそれがあり、まさにご相談者の心配が現実のものとなるかもしれません。

ここに手当てをするために、「自宅をご友人に譲る」という遺言を残しておきます(これを「遺贈」といいます)。そうすれば、亡くなったあと自宅はご友人のものになるため、ご友人の判断で売ったり、取り壊したりできます。

◆司法書士からのコメント

今回のご相談者のように、施設に入るか最期まで自宅で暮らすか分からない場合は、任意後見契約と遺言の組み合わせで解決できるケースが多いです。

上記についてご説明すると、ご相談者もすっかり安堵されたご様子でした。

【この事例での、任意後見契約と遺言の役割分担】

ケース

使う制度

自宅の売却・処分をする人

認知症になり、施設に入った場合

任意後見契約

ご友人(ご本人の代わりに売り、代金を施設の費用へ)

最期まで自宅で暮らした場合

遺言(遺贈)

ご友人(自分のものとして売る・処分する)

なお、ご家族以外の方に財産を託すときは、次のことも一緒に考えておくと安心です。

子どもには「遺留分」がある

まず、子どもの「遺留分」です。

今回のご相談者には、交流がほとんどないとはいえ、娘さんがいます。子どもには、最低限の取り分として「遺留分」が法律で決められています。

相続人が子ども1人なら、遺産全体の2分の1です。

自宅をご友人に遺贈して娘さんの取り分がこれを下回ると、娘さんはご友人に、足りない分をお金で払うよう求めることができます。自宅以外の財産も含めて、誰に何を残すかを全体で決めておくと、ご友人が困らずに済みます。

「予備的遺言」によって、財産を譲る相手が先に亡くなる場合にも備えておく

次に、受遺者(今回でいう友人)が先に亡くなった場合です。

今回は自宅をご友人に譲る遺言ですが、ご友人がご相談者より先に亡くなると、その部分は効力がなくなります。結果、効力がなくなった自宅は、相続人である娘さんが受け継ぐことになります。

せっかく遺言を書いても、結局は娘さんに自宅の処分を任せる形に戻ってしまうのです。

これを防ぐのが「予備的遺言」です。「ご友人が先に亡くなっていたときは、自宅を○○さんに譲る」のように、次の候補まで遺言に書いておく方法です。

「遺言執行者」も決めておく

もう1つ、決めておきたいのが「遺言執行者」です。

遺言執行者とは、遺言の内容を実際に進める人のことです。

ご友人のように相続人でない方が遺言で自宅を受け取るときは、名義変更の手続きに、相続人である娘さんの協力が必要になります。しかし、遺言でご友人などを遺言執行者に指定しておけば、娘さんの協力がなくても手続きを進められます。

◆まとめ

今回は、子どもに頼れない方が、将来への備えを考えた事例をお話ししました。ポイントをまとめると、次のとおりです。

  • 子どもに頼れなくても、信頼できるご友人に自宅を任せる形は作れる

  • 施設に入るなら任意後見契約、最期まで自宅で暮らすなら遺言。2つを組み合わせれば、どちらになっても備えられる

  • 家族以外の人に託すときは、遺留分・予備的遺言・遺言執行者もあわせて考えておく

頼れる家族がいなくても、信頼できる方がいれば、元気なうちに任せる形を作っておけます。

同じような不安を抱えている方の参考になればうれしいです。

法人名

リベ大司法書士法人

住所

京都府長岡京市

長岡3丁目22番5号

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