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遺言で相続人が先に死亡したら?公正証書遺言に不備があった相談事例

遺言で相続人が先に死亡したら?公正証書遺言に不備があった相談事例

遺言・家族信託

2026.10.5

こんにちは!リベ大司法書士法人 代表の金城(カネシロ)です!

🌀「公正証書遺言を作ってあるから、うちの相続は大丈夫」
🌀「法律のプロが作ったから、間違いないはず」

公正証書遺言を作っておけば、相続はひと安心、と思いますよね。ただ、実は、公正証書遺言があっても、遺言どおりに進まないケースもあります。

今回は、私が受任した案件のなかで、公正証書遺言に不備があって、相続手続きが滞った事案をご紹介します。

◆事例の概要

法定相続人が7人いる遺言者が、法律専門職に依頼して公正証書遺言を作成。しかし、財産を受け取る予定のAさんは遺言者より先に亡くなっていた。

遺言者は、遺産総額が約10億円もある資産家です。

法定相続人の数は7人。遺産の分け方をあらかじめ決めておく必要があったため、公正証書遺言を作成されていました。

いざ相続が発生し、案件を受任した私が確認すると、遺言には次のような内容が書かれていました。

  • 「Aには●を相続させる」

  • 「Bには●●を相続させる」

  • 「Cには●●●を相続させる」

一見すると、特に問題のない内容です。本来であれば、この遺言に沿って、遺産の分配がスムーズに進むはずでした。

ところが、戸籍を集めて相続人を確認していくなかで、問題が見つかります。財産を受け取るはずだったAさんが、遺言者よりも先に亡くなっていたのです。

◆相続の途中で明らかになった不備

遺言で財産を受け取るはずの人が、遺言者より先に亡くなると、その部分は効力がなくなります。今回でいえば、「Aには●を相続させる」という部分です。

結果として、Aさんが受け取る予定だった財産は、法定相続の対象となり、7名の相続人全員で話し合って決めることになります(遺産分割協議)。

Aさんが遺言者より先に死亡したため、遺言のAさんに関する部分だけが効力を失い、その財産について法定相続人7名全員で遺産分割協議をすることになった。

せっかく公正証書遺言をつくっていても、その部分の効力が無効になれば、7名全員が合意するまで、その財産は分けられません。

遺産がすべて現金なら、影響は少ないでしょう。ですが、実際には多くのケースで不動産が含まれています。

そして、遺言の効力がなくなった部分に不動産が含まれていると、その不動産は相続人全員の共有となるため、全員が合意するまで、売ることも、取り壊すこともできなくなります。

今回も、本来なら公正証書遺言により円滑に遺産分配が進むはずでしたが、遺産分配が大幅に遅滞することになりました。

◆「予備的遺言」があれば防げた

今回の遺言に足りなかったのは、「予備的遺言」です。

予備的遺言とは、財産を受け取る人が先に亡くなった場合に備えて、次に受け取る人まで遺言に書いておくことです。

たとえば、次のように書きます。

  • 「Aには●を相続させる」

  • 「Aが遺言者よりも先に亡くなった場合は、●をAの子に相続させる」(←これが予備的遺言です)

この2つ目の文があれば、Aさんが先に亡くなっていても、●はAさんのお子さんが受け取ります。7名での遺産分割協議は、必要ありませんでした。

この事例では、予備的遺言がなければAさんの予定分を相続人7人で協議する。Aさんが先に亡くなった場合の受取人をAさんの子と定めておけば、その子が受け取る。

◆司法書士からのコメント

残念ながら、人は、年齢の順番どおりに亡くなるとは限りません。

そのため、今回のように、相続人が多い場合や、財産の額が大きい場合は、予備的遺言を入れておくのが基本です。

すでに作った遺言書で確認しておきたい2つのポイント

すでに遺言を作っている方は、ぜひ次の2つを確認してみてください。

  • 財産を受け取る人ごとに、「○○が遺言者よりも先に亡くなった場合は」という文があるか

  • その文がない場合、受け取る人が先に亡くなったら、その財産が誰にいくことになるか

2つ目を考えてみて、望まない行き先になる、あるいは相続人どうしの話し合いが必要になりそうなら、予備的遺言を足すことも検討してみましょう。

遺言は、ご本人がお元気であれば、あとから作り直したり、内容を足したりできます。

予備的遺言がいらないケースもある

なお、すべての遺言に予備的遺言が必要なわけではありません。書かなくても、法律のルールどおりに進めば、結果として遺言者の希望どおりになるケースがあります。

たとえば、次のようなご家族です。

  • 遺言者は、配偶者に先立たれている

  • 子どもは、AさんとBさんの2人

  • Aさんは独身で、配偶者も子どももいない

  • Bさんには、子どもが1人いる

遺言者の希望は、「特に世話になったAに、すべての財産を相続させたい。Aが先に亡くなったらBに、Bも先に亡くなったらBの子に」というものだとします。

この場合、Aさんが先に亡くなると、相続人はBさんだけになります。遺言に書かなくても、Bさんがすべての財産を相続します。

AさんもBさんも先に亡くなった場合は、Bさんのお子さんが、Bさんの代わりに相続人になります(代襲相続)。相続人はこの1人だけなので、やはり全財産を相続します。

配偶者は既に死亡し、子はAさんとBさん。Aさんには配偶者も子もなく、Bさんには子が1人いる。Aさんが遺言者より先に亡くなればBさんが、AさんとBさんが先に亡くなればBさんの子が全財産を相続する例。

このように、相続人が少なく、「先に亡くなった場合」の行き先が法律のルールと同じになるときは、予備的遺言がなくても困りません。

◆まとめ

今回は、法律のプロが関与した公正証書遺言であっても、遺言内容に不備が見られることもあるという事例を紹介しました。

ポイントをまとめると、次のとおりです。

  • 遺言で財産を受け取る人が先に亡くなると、その部分は効力がなくなり、相続人全員での話し合いが必要になる

  • 「先に亡くなった場合は○○に」と次の人まで書いておく予備的遺言があれば、遺言どおりに進められる

  • 相続人が多い、財産の額が大きいときほど、予備的遺言が入っているかを確認しておく

司法書士・行政書士などの専門家に遺言の案を作ってもらうときも、予備的遺言の定めがあるかどうかは、ご自身の目でも一度確かめておくと安心です!

法人名

リベ大司法書士法人

住所

京都府長岡京市

長岡3丁目22番5号

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